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お粥
技術文書の執筆及び添削をする仕事をしています。
小さい頃から、メッセージボトルを海に流すのが夢でした。しかし、環境汚染は良くないので、代わりにブログを始めてみました。

【講義編】文章の書き方|修飾語の位置を工夫して”伝わる文章”に

この記事は、相手に伝わりやすい文章にするためのコツの紹介記事です。

今回紹介するのは、「修飾語を入れる位置について」です。

この記事で解決できるお悩み

  1. 伝わりやすい文章の書き方を知りたい!
  2. 上司に「文章が分かり難い」と言われたため、対処法を知りたい!
  3. 一文が長くなってしまったときに少しでも分かりやすくする方法を知りたい!
  4. 修飾語・被修飾語の位置について注意すべきときを知りたい!

この記事は【講義編】【トレーニング編】の二本立てです。
講義編をご覧いただいた後に、トレーニング編をご覧いただくことを推奨しております。

〜ある日の会話〜

私は、一番大好きなテレビドラマの最終回を見たのが楽しかったです。

一番好きなテレビドラマの最終回だったんだね!

違う!!一番楽しかったって言いたかったんだけど……

「一番大好きなテレビドラマの最終回を見たのが楽しかった」という文章。

一見、「一番」は「大好きなテレビドラマ」を修飾しているように読めます。

しかし、書き手は「楽しかった」を修飾しているつもりでした。

修飾語を入れる位置が適切でないと、読み手が違う意味に捉えたり、分かりにくい文章になってしまったりするおそれがあります。

そこで今回は、修飾語を入れる適切な位置について解説します!

目次

修飾語・被修飾語について

修飾語、被修飾語の定義、見分け方

修飾語とは、他の文節について詳しく説明する文節のことです。

被修飾語とは、詳しく説明される文節のことです。

修飾語・被修飾語の例

ピンク色のマーカを引いたのが修飾語、青色のマーカを引いたのが被修飾語です。

  1. 大きくて 白い 
  2. 元気な 男の子
  3. 今朝 通った

次に、修飾語と被修飾語の見つけ方について説明します。

文章を読んだとき、「何かを詳しく説明するための語」があれば、それが修飾語です。

また、その修飾語がかかる先の語が、被修飾語です。

文章の書き方の基本|修飾語を入れる位置はどこ?

修飾語は、被修飾語の直前に入れます。

修飾語と被修飾語の距離が遠いと、読み手はどれが被修飾語なのか判別できなくなります。

ここで、冒頭にあげた例について、再度検討します。

私は、一番大好きなテレビドラマの最終回を見たのが楽しかったです。

上記の例では、「一番」が修飾するのは「テレビドラマ」に思えます。

なぜなら、被修飾語として成立する一番最初に出てくる語が「テレビドラマ」だからです。

「一番楽しかった」と言いたいのであれば、次のように書く必要があります。

私は、大好きなテレビドラマの最終回を見たのが一番楽しかったです。

思いついた順に文章を書いてしまうと、この例のように、修飾語の位置がおかしくなってしまうことが良くあります。

気をつけましょう!

修飾語が複数あるときの位置|長い修飾語は遠くにおく

1つの被修飾語に複数の修飾語がかかる場合 … 長い修飾語→短い修飾語 の順番に並べる

1つの語に複数の修飾語がかかる場合には、長い修飾語→短い修飾語 の順番に並べると、分かりやすい文章になります。

1つの語に複数の修飾語がかかる場合というのは、たとえば以下のような場合です。

新しい 昨日買ったばかりの 服 を着る。

この文章、少し違和感を感じませんか?

違和感の原因は、短い修飾語「新しい」が出てきた後に、長い修飾語「昨日買ったばかりの」が続いているところにあります。

このように、1つの語に複数の修飾語がかかる場合には、短い修飾語を先に持ってくると文章が読みやすくなります。

昨日買ったばかりの 新しい 服 を着る。

修飾語と被修飾語の位置に気をつけるべきシーン

日常会話では、修飾関係が不明確でも大して問題になりません。

しかし、以下の場合には、修飾語の位置について細心の注意を払う必要があります。

修飾語の位置を注意する必要があるシーン

  1. 学術論文を書くとき
  2. 大勢の人が読む、フォーマルな文章を書くとき
  3. 一文が長くなってしまったとき

修飾語の位置がおかしいと、文章そのものの内容が変わってしまうことがあります。

学術論文を例にご説明します。以下の文章を読んでみてください。

Volume-Weber型の薄膜の成長機構については、…

木下是雄「理科系の作文技術」126頁より

Volume-Weber型が修飾しているのは、薄膜と成長機構のどちらだと思いますか?

この文章だけでは、どちらか断定できませんよね。

この例では、「成長機構」が被修飾語だそうです。

その場合、以下のように書き直すことで、「薄膜」にかかること誤解されることは無くなります。

薄膜の、Volume-Weber型の成長機構については、…

木下是雄「理科系の作文技術」127頁より

この例ですが、その技術に明るい人が読めば、Volume-Weber型とよばれる成長様式があることを知っているため、被修飾語がどれなのか迷うことはないそうです。

しかし、論文はその分野に明るい人だけが読むとは限りません

こうした誤解が積み重なると、研究そのものが伝わらなくなるおそれもあります。

文章を作成するときは、修飾語が被修飾語の近くにおかれているか、毎回確認するようにすると良いと思います。

「聞き手が誤解する可能性」を常に考慮して、文章を作成することが大事です。

まとめ:文章の書き方|修飾語の位置は被修飾語の直前!

最後に、今までご説明したことをまとめます。

まとめ:修飾語の位置

  1. 修飾語…詳しく説明するための文節
  2. 被修飾語…詳しく説明される文節
  3. 修飾語は、被修飾語の近くにおく
  4. 1つの語に複数の修飾語がかかる場合、被修飾語の遠くに長い修飾語をおき、被修飾語の近くに短い修飾語をおく

如何でしたか。

この記事が、少しでも皆さまの理解の助けになれば幸いです。

参考文献

  1. 木下是雄(1981)「理科系の作文技術」中央公論新社
  2. 杉本裕子(2017)「生涯使える大人の文章力 スピード学習帳」主婦の友社
  3. 阿部紘久(2009)「文章力の基本」日本実業出版社
  4. 荒瀬 康司(2019)「総説 科学論文作成上のルール」人間ドック (Ningen Dock)34 巻 1 号 p. 6-26
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